天王山砦(てんのうやま) 武田氏の関与を思わせる技巧的な砦跡

【主郭跡を取り巻く横堀と土塁】
■場所:恵那市武並町藤
■主な城主:不明
■別名:
■形式:山城
■築城年:不明
■城遺構:曲輪、横堀、竪堀、堀切、土塁、虎口
■標高:327m
■比高:100m

木曽川左岸の比高約100mの山上に選地する。付近に戦国末期、村人の避難小屋が設けられていたと伝わる。当城は小規模ながら横堀と複数の竪堀を組み合わせ、技巧的な縄張りとなっている。加えて木曽川の渡河点を北側直下に見下ろす位置に築かれており、その北側直下には木曽川渡河点があることから、その監視所としての性格が考えられる。また、横堀に組み合わせた竪堀の形態は、甲斐武田氏城館に類例がみられる。付近の歴史的状況からみても、築城に武田氏が関与している可能性は高い。その場合、木曽川流域の掌握といった点から、武田氏の動向を考える材料になるとも思われる。『「岐阜県中世城館跡総合調査報告書第3集(2004 岐阜県教育委員会)」より本文抜粋』
実際に現地を訪れると、連続した竪堀や主郭を取り巻く横堀、土塁など、小ぶりな砦跡とは言え技巧的な縄張りが楽しめる隠れた名城だと思います。


【主郭跡】

【堀切跡】

【竪堀跡】

<天王山砦へのアクセス>
恵那市と瑞浪市との市境付近の国道19号線「向流」の信号交差点から県道418号線に入ります。その後、約250m程進んだところの丁字路を左折し、そのまま県道418号線を木曽川に向かって北上します。道なりに約6km進むと峠を下る大きなS字カーブとなりますが、S字カーブを下ってさらに350m程進んだ県道沿いの右側に分岐する細い道路があらわれます。この道を100m程進んだヘアピンカーブとなる地点の山側に城址へ続く登城口があります。車の場合は、登城口に続く細い道路の分岐に入らず、県道をさらに100m程過ぎたカーブになっている右側に駐車できそうなスペースがあります。